初めての海外旅行で帰国手段を失った私 そして予想外の結末【前編】

コラム

ターミナル(Terminal)

そこは 「こんにちは」そして「さようなら」

そんな言葉を世界で最も多く耳にする場所。

行交う人々と同じ数だけ、それぞれのストーリーがある。

国も文化も違う多くの人が行き交い、たくさんの想いが交錯する場所だからこそ、思わぬ出会いがあり、ドラマがあり、そして思わぬ事件が起こるのかも知れません。

過去にはさまざまな理由により空港で足止めをくらい、空港ターミナルの中で何年間も暮らした人が何人かいます。

このようなケースは稀ですが、誰しもが思わぬアクシデントで空港に足止めを食らうことはあるかも知れません。

でもその足止めが、数時間、一日、一週間と続いたとしたら・・・

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ロンドン・ヒースロー(Heathrow)空港での出来事

Image by cedarjet201 from Pixabay

ロンドン・ヒースロー(Heathrow)空港

ロンドン郊外にあり毎日18万人もの人が利用するこのヨーロッパ一の空港に、小雨がぱらつく中、私を乗せた飛行機は降り立ちました。

私にとって初めての海外旅行だったスペイン旅行を無事に終えて、乗り継ぎのためにヒースロー空港に4時間ほど滞在した後、東京行きの便に乗り日本へ帰る予定でした。
 
欧州線のターミナルから国際線のターミナルに移動すると後は搭乗を待つだけ。

カフェからレストラン、お土産、ファッション、化粧品、電化製品などあらゆるお店が揃うターミナルをブラブラして出発までの時間を過ごしていました。

British Airways BA0920   Stuttgart  14:15 Gate22  cancel
British Airways BA0460   Madrid    14:20 Gate31
British Airways BA0908   Frankfurt  14:20 Gate26  cancel
British Airways BA0856   Prague    14:25 Gate3   cancel
British Airways BA0480   Barcelona  14:30 Gate34
British Airways BA0007   Tokyo     14:35 Gate18  cancel
British Airways BA1328   Bangkok   14:35 Gate13  cancel

ふと出発案内を見ると、私が乗るBA0007便の後ろに”cancel”と気になる表示が。

まさか欠航だったりして・・・

でも、他の便にもたくさん”cancel”が表示されているからキャンセル待ちの表示なのかな・・・

当時、それほど飛行機に乗ったことが無かった私はキャンセルの表示が欠航を意味しているとは夢にもおもっていませんでした。

ただ、念のために近くにいた係員にチケットを見せて尋ねます。すると

「No Problem. チケットに書いてある搭乗口に行ってください」

係員はチケットのGate18という文字をさしながら、答えてくれました。やっぱりキャンセル待ちの表示で、座席番号が既に決まっている私には特に影響がないようだと自分自身を安心させました。

免税店を眺めるのにも飽きたころ出発案内を見ると、ちょうど私が乗る便の2時間前に出発する同じ東京行きの便を発見!!

Now Boardingと表示されているので、もうすぐ出発するようです。

暇つぶしに見送りに行くことにしました。

出発案内に表示されたゲートに向かった私、ところがそこで見たあまりの光景に驚き、思わず言葉を失ってしまいました。

なんだ、こりゃ!!

いったいこの便はどうなっているんだ!?

一足先に出発する東京行きの便を見送りにいくと、ものすごい修羅場になっていました。

出発ゲートから人が溢れてる!!

搭乗口のカウンターには大勢の人が殺到して係員に詰め寄り、カウンターにすら辿りつけない大量の人たちが、荷物を抱え疲労こんぱいの様子で地べたに座り込んでいました。

まるで難民船を彷彿とさせるような光景です。

周りの人に話しを聞くと、なんと150席近いオーバーブッキングが発生したようです。

ツアーの団体さんも、丸ごとオーバーブッキング。

一体どうしたんだい、ブリティッシュ・エアウィズ!!

飛行機に乗り切れない人々が搭乗ゲートから溢れるあまりにも非現実的な光景に、だんだんおかしくなってきて思わず笑ってしまいました。

私も一歩間違えば、この飛行機になっていたかもしれません。 危うくとんでもない便に当たるところでした。

??

まさか!?

その時に思い出しました。

British Airways BA0007   Tokyo 14:35 Gate18  cancel

cancel・・・って、やっぱり欠航の事じゃ?!

一本前の便がこんな状態なのに、私の乗る次の便が正常に運航できるとは思えません。

慌ててカウンターを探して係員の人にもう一度確認しようと思いましたが、どこのカウンターも人でいっぱい。

そしてこの時になって、空港の尋常でない様子に気づきました。

明らかにターミナル内に人が増えている・・・

航空会社の職員の動きがあわただしくなり、また、ターミナル内でやたらと警備員が目に付くようになりました。

その上、頭上にある渡り廊下にはマシンガンを構えた警察官がいつの間にか配置され、ターミナル内の様子を厳しく監視していました。

いったい、この空港で何が起こっているのか・・・

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1週間先まで満席です

ターミナル内のカウンターを探しまわって、何とか3人くらいしか並んでいないカウンターを見つけて並びました。

しかし、前の人たちも何やら揉めていてなかなか私の番になりません。

待つこと15分。やっと自分の番になりました。

係員の陽気そうなおばちゃんにチケットを見せると、一言

「あら~ このフライトは欠航よ!!」

えっ、やっぱり!?

「明日の便が空いているか調べてみるわ」 

えぇっ、今日はもう無いの!?

「あら~ 明日もオーバーブッキングだわ」

えぇぇっ、明日も!?

「それでは、明後日の便も調べてみるわ」 

明後日って言われても!!

「困ったわね~明後日もオーバーブッキングみたい・・・」

・・・(絶句)

私の意志とは無関係に、あれよあれよという間に、振り替え便の検索日がどんどん先に進んでいきます。

しかも!!

「困ったわ・・・ 一週間先まで探したけど手配できなかったわ・・・」

「他の会社は無いんですか?」と必死に食らいつくと

「JAL、ANA、どれも満席なの。もう、ここではこれ以上のことは出来ないわ」

「下の階に、総合カウンターがあるのでそちらの方にいってね。あなたの力になれなくて、ごめんなさい」

このカウンターでは、もうなす術がないようです。

私の為に手を尽くしてくれた おばちゃん職員にお別れをして、階段を降りた先にあるという総合カウンターに急いで向かいました。

ノロノロしているわけには行きません。目の前の女の子だって走っています!!

私も重いリュックを背負って走りました。

しかし気になるのは、私が走っている横にずっと長い行列が続いていること

巨大な空港ロビーを必死に走ってやっと下の階へと向かう階段までたどり着きましたが、なぜか行列も階段を降ってる・・・(嫌な予感?!)

階段を降りると、降りたそばに総合チェックインカウンターがありました。そして、ずっと続いていた長蛇の列の始まりもこのチェックインカウンターでした。

なんてこった・・・

こうしている間にもますます行列が長くなってしまいます。急いでいま来た道を戻らねばなりません。

階段まで戻ると、運良くエレベータが来ていたのでエレベータに乗りました。

このエレベータには先客がいました。先ほど前を走っていた女の子です。

ドアが閉まって一息つくと、女の子から「嫌な予感がしてたけど・・・あの行列チェックインカウンター待ちだったね」 と突然日本語で話しかけられました。

彼女の名前は村上さん。東京の美術大学で助手をしているそうです。

私と村上さんは、何とか行列の最後尾にたどり着き一緒に並びました。

列はどんどん長くなります。

私たちの後ろに並んだのは、日本人の男と香港の女の子のカップル。

その後ろはユダヤ教のグループで、皆黒い帽子にクルクルカールがかかった長いもみ上げを生やしていました。

その後ろは、ターバンを巻いたインド人らしき人。

その後も、社会の教科書でしか見たことの無い、いろいろな民族の人たちが並びます。万博の世界民族館みたいな行列に、思わず楽しくなってしまいました。

楽しいのは私だけではない様で、ラテン系の国から来たと思われる若者のグループは行列をバックにみんなで大騒ぎしながら写真を撮って盛り上がっていました。さすが陽気な人々。

そしてもっとも目立つのはアメリカ人!! なんたって彼らの荷物の量が半端でない!!

空港のカートに、ボストンバックやらスーツケースやらを山積みして移動しているので、アメリカから来た人は一目で分かってしまいます。

当の本人達も分かっているようで、そんな荷物山積みで移動している人たちが出会うと、自然とお互いに声をかけていました。

「やぁ~ どこから来たんだい?」

「オハイオだよ」

「うちはコロラドだよ」

そんな面白い光景を眺めつつ行列は進みます。

しかし、ひとり一人の手配にかなり時間がかかるらしく一向に行列は先に進みません。

たまに他社への振り替え便が確保できたのか、航空会社の職員が

「ニューヨーク テン(10)」

「サンパウロ エイティーン(18)」

など叫びながら行列の横を歩き、手を上げた人を引っこ抜いていきます。

なんだか畑の収穫みたいです

この収穫が行われた時だけ、行列が一気に進みます。

それにしても・・・一体なにが起きているのか。

時々空港のアナウンスがあり、それが事態を把握する唯一の頼りです。

しかし、ただでさえ英語が苦手なのに空港の喧騒も相まって私にはまったく聞き取れませんでした。

ところが隣りの村上さんは、なんと放送の内容を理解している様子です。それどころか、空港職員同士の会話の内容なども盗み聞きしています。英語の達人!?

村上さんが収集してくれた情報によって、この混乱の全容が次第に明らかになりました。

どうやらコンピュータシステムにトラブルが発生して、その影響ですべての出発便の運航が停止してしまったようです。

先ほどの凄まじいオーバーブッキンもこのシステムトラブルが原因でしょう。

出発便がすべて欠航になった一方、すでにロンドンに向かっている飛行機は到着するので、ロンドン経由の乗り継ぎ客が足止めをくらい、大量に人がターミナルに溢れかえることに。

さすが世界屈指の空港!! どんどん飛行機が到着し、どんどん人が溜まっていく!!

5時間近く経ったでしょうか。 やっとカウンターのある部屋にたどり着きました。もうすぐ航空会社との交渉に挑みます。

私は英語が苦手ですが、こっちには村上さんという強い味方が付いている!!

あと10人くらいでカウンターの順番が回ってくるという時、前に並ぶカウンターのひとつで日本人のおばさんが怒っている声が聞こえてきました。

どうやら航空会社の職員と揉めているようです。

そのおばさんはあまり英語が話せないようで、村上さんが通訳をかって出て仲裁に入りました。

程なくして村上さんのすばらしい通訳のおかげで問題が解決したようで、日本人のおばちゃんは、職員からホテルとその他のクーポン券を受け取っていました。

・・・あれ?

なぜか村上さんも同じものを受け取っています。

村上さん、おばちゃんを助けるついでに、ちゃっかり自分の交渉もしていたのです。

おばちゃんと一緒にカウンターを離れる村上さん。私のところに寄って

「はすいさん、交渉したらホテルも用意して貰えたよ!! はすいさんも頑張ってね♪」

えぇっ!!

「がっ 頑張ってね」って・・・
ネイティブスピーカー相手に英語で交渉なんて出来ません(涙)

あてがはずれて、大ピンチ!!

はたして航空会社との交渉はどうなってしまうのか・・・

いよいよ自分の番が回ってカウンターへ向かうと、奥から日本人の年配の職員が出てきて受付を交代しました。

先ほどのおばさんのトラブルで日本人スタッフが呼ばれたようです。

全然英語必要なかった!!

そしてすぐに、ホテルの宿泊クーポンと夕食のクーポン、ホテルー空港間のバスチケット2枚を渡されました。

また搭乗券の座席番号の上にはシールが張られました。明日の11時半の便に振り替えてくれるとのこと。

一週間先まで満席じゃないの?? 疑問に思いましたが、振り替えると言っているのでその言葉を信じることにします。

その後、ホテルまでの行き方を説明されたんですが・・・

まず、右の通路を先にすすんで・・・入国審査を受けて一旦入国してください・・・バス停があるので○△□のバス乗り場から△■×○行きのバスに乗って、○△□というホテルでバスを降りて・・・

説明が長くて、さらに聞きなれない地名がたくさん出てきて・・・全然覚えられません。

途中から思考が停止し、右の耳から入った言葉が左の耳から抜けて行きました。

「入国審査を受けたあとに、バス停でバスに乗ってホテルで降りればいいのですね」

行けば何とかなると思い、適当に理解してカウンターを後にしました。

ところが、バス停まではなんとか辿り着けましたが、いざバス停に着くとバスが沢山止まっていてどれに乗ればいいのか分かりません。

肝心の地名を全く記憶していませんでした。

ところがその時

「お~い はすいさん!!」

偶然にも先ほどの日本人のおばさんと、さらに別の2人を連れた村上さんに遭遇!!

この御一行に加わり、無事に目的地に向かうバスに乗り込むことができました。

この日本人のおばさんは小六(ころく)さん。そしてもう2人は森さんというお姉さんと関口君という男性でした。

そしてこの小六さんとの出会いが、後に私の日本への帰路を大きく変える事になるとは、この時は知る由もありませんでした。

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災いを呼ぶ者

バスがホテルに着くと、予想外に豪華なホテルでビックリしました。この旅一番の豪華なホテルかも知れません。

ロビーには、パイロットとフライトアテンダントさんのグループが沢山いました。どうやら航空会社御用達のホテルのようです。

フロントでキーをもらった後、皆で一緒に夕食を食べに行く約束をしました。

各自部屋に荷物を置いたらフロントに集合するよう小六さんから指示されます。

エレベータで一旦みんなと別れて用意された部屋に向かいました。

豪華ホテル、どんな部屋かドキドキしながらドアを開けます・・・すると

うゎー広い (感動!!)

うゎーいい景色 (窓の向うに広がる広大な空港)

うゎー汚い (部屋に広がる前の客の残骸)

今日のお昼まで誰かが寝ていたであろうベットの布団はめくれ上がり、体臭が漂っていました。

これは「自分で敷き直して寝てください」って言うことでしょうか・・・

そんなことに納得できるはずはなく、急いでロビーに抗議にいきました。私の抗議が通じたのか、すぐに違う部屋の鍵に取替えてくれます。

今度の部屋は大丈夫なのか・・・不安になりながらドアを開けると

今度はちゃんと掃除してありました。

ところが!!

部屋の明かりをつけようとすると

あれ、いまスイッチを押したよな??

カッチッ、カッチッ、カッチッ

何度押しても明かりがつきません。部屋中のスイッチを押してもどれも反応しません。

まったくどうなっているんだ(怒)

再びフロントに急ぎます。さっきから部屋とフロントを行ったり来たり。

2度目にロビーに着くと、既にみんなは部屋に荷物を置いてロビーに集合していました。

みんなを待たせてしまったので事情を説明すると、村上さんがロビーに交渉に行ってくれました。

あとで、担当者が直してくれるそうです。

仕方ないので、先にホテルの中華レストランで夕食を食べました。

航空会社からもらった夕食クーポンで、みな1品づつ頼んでいくと、テーブルの上は料理で埋まりました。

旅先で思わず道連れとなった人達との夕食。 すごく楽しくて美味しいです!!

特に私は一人旅で、旅先で誰かと出会った時以外はずっと一人の食事だったので、すごく楽しんでいました。

みんないろいろ話します。

小六さんは、旦那さんがドイツのミュンヘンに単身赴任しているため、月に一度旦那さんの所に通って身の回りのお世話をしているそうです。

すごくしっかりしたセレブなおばさまです。ドイツの魅力をたっぷりと教えてくれます。

森さんは、JR系の旅行会社で働くお姉さん。

関口君は、卒業旅行の学生さん。

話も弾みます。もちろん一番の話題は今日のトラブルでした。

「こんなこともあるんだねぇ~」

「よっぽど運の悪い人がこの飛行機に乗る予定だったんじゃないの~」

「ははははは~」

みんな冗談で大笑い~

でも、一人だけ笑えない人が・・・

私です。

空港は大混乱、飛行機も止まり、ホテルの部屋は2部屋続けてトラブル。

この5人のなかで飛行機を止めた不幸を呼ぶ人である可能性がもっとも高いのは私です。

5人どころか、今日の乗客の中でも最有力候補かも知れません

食事を食べ終え、盛り上がりもピークを迎えたころ、食後のお茶とお菓子が運ばれてきました。

ところが運ばれてきた御菓子がよりによって”フォーチュン・クッキー”!!

Image by Hannah Edgman from Pixabay

※フォーチュン・クッキー・・・中に占いが入っているクッキー

いやぁぁ、占い!!

占いで凶なんか出そうものなら私の名誉は失墜です。冗談にもなりません。

誰かが私を陥れているのか・・・

「どうか凶が出ませんように」 私は必死に祈って最後に恐る恐るクッキを割りました。

こんなお遊びクッキーにすら追い詰められている私。 ところが

あれっ 紙が入ってない?!

クッキーのどこを探しても占いの紙が見つかりませんでした。

凶すら入っていません(涙)

まわりの皆が言葉を失いました・・・

「はすいさん・・・あなた本当に運がないね・・・」

「こんなことってあるんだねぇ・・・」

「きっとこれで不運はすべて使い果たしたから、これからはいいことがあるよ!!」

そんな不吉な人になってしまった私。

果たして翌日、日本に帰る事ができるのでしょうか・・・

後編に続く

◆旅行のトラブルを防ぐためのテクニック

◆面白い?読み物

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