日本ではお店の商品には値段がついていますが、海外を旅していると商品に値札がついておらず、どんな物を買うためにも価格交渉が必須という国が多々あります。
そういった国の人々は子供の頃から毎日シビアな価格交渉をしながら育っているので、相場も良く分からない観光客が買い物などしようものなら、あっと言う間にカモにされてぼったくり価格で物を買わされてしまいます。
後で自分がぼったくられたと分かると本当に嫌な気分になって、買い物が苦痛になってしまいますよね。
そこで今回は、海外旅行でぼったくりに遭わないための価格交渉の秘訣を共有します。これから説明するたった一つの原則を知るだけで、百戦錬磨の価格交渉のプロであるお店の店主と互角に価格交渉できるようになります。
価格交渉で主導権を握るために知っておくべき、たったひとつの原則
私も初めの頃はぼったくられることが多々あったのですが、いろいろな国で価格交渉の経験を重ねことで、価格交渉においてある重大な原則があることに気づきました。それは・・・
上の言葉の意味を理解してもらうために、実際の価格交渉の現場を再現したいと思います。
はすいさんは、エジプト旅行中に立ち寄った土産物屋さんでとっても素敵なジュエリーボックスをみつけました。このジュエリーボックスが欲しいはすいさんは、お店の店主と価格交渉を始めます。(かっこ)ははすいさんの心の声です。
これはいくらですか?
100ドルだよ
えっ 100ドル
ちょっと高いから買うの止めます。
オーケー分かった。
いくらだったら買いたい?
じゃあ、15ドル
15ドル!! ( ゚Д゚)
それは無いだろ
じゃあ… 25ドル
これは手作りで3か月はかかるんだ。$25じゃ赤字だよ
じゃあ、35ドル
ダメ、ダメ
(45ドル、これで買えますように)
じゃあ、45ドル
そんな値段じゃ売れないよ
(買えなかったか…残念)
さようなら
待て 待て、分かった。
特別に45ドルでOKだ
(あ~交渉成立した。良かった。)
センキュー
もってけドロボー
こうしてジュエリーボックスを手に入れたはすいさんですが、このような場合は大抵、高値掴みしています。 鋭い方はその理由に気づいていると思いますが、高値掴みの原因をこれから解説します。
価格交渉を行う場合、買い手はこれ以上高い場合は買わないという値段(下図で50ドル以上)があります。皆さんもオークションに参加したり価格交渉を行う場合には、事前にこれ以上値段が上がったら入札から降りる・価格交渉を打ち切るという金額を決めてオークションや交渉にのぞんでいると思います。
一方で、売り手側にもこれ以上安い場合は赤字になる・売りたくないという値段(下図で20ドル未満)があります。
従ってこの2人が価格交渉を行うと、20ドル~49ドルの間で値段が決まります。
上の価格交渉の例では、店主ははすいさんに次々により高い値段を言わせて、最終的にはすいさんが交渉から降りた時の値段で、売買を成立させています。
交渉というものはお互いの譲歩を引き出して妥協点を見つけ出す作業ですが、上の例では一見価格交渉しているように見えて、店主は値段に関して一切譲歩していません。
客に次々に高い値段を言わせて、お客が諦めた時(=お客が出せる最高価格)にOKを出すというのが店主の交渉戦術です。
店主のこの交渉術のことを私は「王道値引き術」と呼んでいて、インドやトルコ、カンボジア、エジプトなど色んな国で価格交渉をおこなった経験がありますが、8割方このパターンを使ってきます。
すごく単純な戦術ですが、海外の土産物屋で価格交渉の様子を見ていると、定価販売が主流の欧米や日本の観光客が、このような店主の交渉戦術に引っかかって、どんどん高値で物を買わされている姿を目撃します。
ぼったくられない価格交渉のやり方
価格交渉において、値段を言うという事は相手に対して譲歩することを意味しています。なので「相手に値段を言わせた方」が交渉の主導権を握っている状態になります。
そこで、店主にぼったくられないようにするには、店主にも値段を言わせるように会話をコントロールします。
これはいくらですか?
100ドルだよ
えっ 100ドル
ちょっと高いから買うの止めます。
オーケー分かった。
いくらだったら買いたい?
じゃあ、15ドル
15ドル!! ( ゚Д゚)
それは無いだろ
じゃあ逆にいくらならいいの?
70ドルでどうだ
No. もっと安くして!!
特別に50ドルだ
諦めるわ。さようなら
待て待て、分かった
40ドルだ。
う~ん、どうしようかな
20ドルかな
よし、30ドルで決定だ
と言いながら買うとも言っていないのに、強引に袋詰めして商品を渡してくる店主
間をとって25ドルね
※そう言って
商品を受け取り25ドルを渡すふりをする。
冗談を言うな
30ドルだ
じゃあ、要らないわ
※商品を返すふりをする。
もう分かった。
25ドルだ。
このように自分の購入希望価格をなるべく上げないようにしながら、相手の金額を言わせることで「買い手が払える上値」と「売り手が赤字にならない下値」の中間の値段か、それよりも安い値段で交渉を妥結することができるようになります。
特に他の店でも買えるようなお土産物の値段を交渉する場合には、圧倒的に買い手の方が有利なので上の例のように、交渉から降りるような素振りを見せて、相手から譲歩を引き出すようにすると安く購入できます。
買いたい物の値段の相場を把握する方法
価格交渉を行う場合、買いたい物の値段の相場を把握していると自信を持って価格交渉にあたれます。そこで最後に、買いたい物の値段の相場を把握する方法をいくつか紹介します。
空港のギフトショップで値段を確認
価格交渉が必須な国でも、空港内のギフトショップでは大体値札をつけて定価販売しています。
空港内という競合が少ない環境でさらに観光客向けの商売のために空港内のギフトショップの値段はそれ自体かなりぼったくりに近い高価格ですが、気になる土産についてあらかじめ空港内のギフトショップで値段を確認しておけば、街中でお土産を買う時にその値段と同じ値段だったらかなり高めの値段と判断できます。
ミネラルウォーター等の値段から現地の物価を把握する
有名な経済指標の中にビックマック指数というものがあります。世界各国で入手できるマクドナルドのビックマックの値段を比較することで、 各国の通貨が本来の価値に比べて高くなっているのか・安くなっているのかを把握しますが、これを応用すると旅行先の現地の物価を推定することができます。
例えば、私が良く参考にするのはミネラルウォーターやコーラの値段です。500mlのミネラルウォーターは日本では大体100円程度で売られていますが、旅行先で500mlのミネラルウォーターの値段が日本円で25円程度だった場合、現地の物価は日本の1/4と判断します。
なので、例えば日本で2000円くらいで売っていそうなスカーフを見つけた場合、現地価格では500円くらいが相場だと判断して、250円~300円くらいから価格交渉を始めています。
価格交渉が得意になるとあんなに苦痛だった買い物が楽しくなります。ぜひ皆さんも上記の知識を活用して、旅先での価格交渉に挑戦してください。