かつてシルクロード交易で繁栄した中央アジアのウズベキスタン
サマルカンド・ブルーと呼ばれ、宝石のように青く輝くドームやファサードを持つ建築で有名ですが、建築以外にも多くの魅力を持つ国です。
遊牧民の羊肉を使った料理をベースにして、トルコや中華、ロシア料理の影響を受けて発展したウズベキスタンの食文化
イスラーム芸術の影響を受けた美しい伝統工芸品
外国人を見ると興味深々で話しかけてくる、人懐っこいウズベキスタンの人々
この記事では、私がウズベキスタンを旅して出会ったウズベキスタンの魅力をお伝えします。
黄金に輝くグーリ・アミール廟を見る
早朝4時にサマルカンド国際空港に到着した私
事前に手配していたタクシーに乗り込んでホテルに向かうも、朝早くて閉まっていました。
そこで誰もいない、静寂に包まれたサマルカンドの街を一人散歩していると、黄金細工のように美しく輝くグーリ・アミール廟が目に飛び込んできました。
ウズベキスタンに到着して最初に出会った、この黄金に輝く美しい廟は旅行から3年が経った今でも鮮明に覚えています。
ライトアップされたグーリ・アミール廟に大満足の私でしたが、後日、廟の中に入ると更なる感動が待っていました。
ペルシャ語で「王の墓」を意味するこのグーリ・アミールには、現在のサマルカンドを築いたティムールと彼の家族が眠っています。
彼らが眠る玄室に足を踏み入れると、壁一面がアラベスク(イスラムの幾何学的文様)で飾られた空間が広がっています。
玄室に響き渡るイスラムの祈りの言葉を聞きながら、この美しい装飾を眺めるのは、まさに至極の時間です。
観光時間の目安:1時間 地図
お昼にウズベキスタン名物料理プロフを食べ歩く
ウズベキスタンを代表するプロフは、ピラフの由来になった料理
このプロフは、あたりハズレが無くてどこのお店で食べても「とにかく美味しい!!」
プロフはニンジンやヒヨコ豆などの野菜、羊や牛肉、お米をガーリックとクミンなどの香辛料で味付けしたスープと共に炊き込んだ料理です。
プロフはどこのお店でも巨大な鍋で作るので、プロフの食べられるお店はすぐに分かります。
プロフは何でこんなに美味しいんだろうと考えたのですが、たぶんその秘密はクミンにあると思います。
実はクミンは、カレーの基本スパイス「ターメリック、クミン、コリアンダー、チリ」のひとつで、食欲をそそるカレー独特のスパイシーな香りが特徴です。
私たちに馴染みのあるカレーに味や香りが似ているので、病みつきになるのかもしれません。
プロフはニンジンが大量に使われているので、一口食べるとクミンやガーリックの風味の中でニンジンの甘味が口の中いっぱいに広がります。それがまた美味しい!!
冒頭の写真は、ビビハニム・モスクの少し先にあったレストランで食べたプロフです。(リンク先の画像に映っている左側建物の奥、アーチ型の窓のある部分にレストランが入っています)
いかにも観光客向けなレストランで期待せずに入ったのですが、ウズベキスタンで食べたプロフの中でもトップ3に入る美味しさでした。
上の写真はブハラにある老舗レストランChayxana Chinarのプロフ。いつも地元の人で賑わっていて、ブハラでは一番のおすすめです。
プロフは、大体どこのお店も午前中に作り始めて、夕方くらいには売り切れてしまうので、お昼に食べましょう。
レギスタン広場で憧れのウズベキスタンに来たことを実感する
サマルカンドの中心に位置するこのレギスタン広場はウズベキスタンでもっとも有名な観光スポットだと思います。
私もTVで青いドームが印象的なレギスタン広場の光景を見てウズベキスタンのことを知ったので、ここに来た時に「ついにウズベキスタンに来たんだ」「TVで見たあの場所に立っているんだ」と感慨に浸りました。
正面と左右の3つのマドラサに囲まれた中央の広場は、シルクロードが栄えた時代には市場が開かれ、多くの人が集まったそうです。
今も昔も多くの人を惹きつけるパワースポットです。
レギスタン広場には結婚式の写真撮影を行っているカップルが集まっていて、広場周辺には常に2~3組の新婚さんが友人や親族達と共に写真を撮っていました。
そんな微笑ましい姿を見ていると、なぜか私にも「俺たちの写真を撮れ」と・・・
お言葉に甘えて撮影させてもらうと、最後はなぜか私も友人達に交じって新郎新婦と一緒に写真に写ることになりました(笑)
ウズベキスタンの人たちはとにかく人懐っこいです。
日が沈むと、幻想的にライトアップされた美しい広場を眺めることができるので、夜のレギスタン広場も必見です。
観光時間の目安:1時間30分 地図
メドレセ(神学校)のホテルに泊まり贅沢な時間を過ごす。
メドレセはイスラムの神学校のことで、ウズベキスタンのブハラにはかつてメドレセだった建物を改装したホテルが多くあります。
その中でもお薦めなのが、アムレット・ホテルです。
このホテルは19世紀初頭に建てられたメドレセを利用したホテルで、各部屋もウズベキスタンの伝統的な内装になっています。
目が覚めると、歴史を感じさせる食堂での豪華なコンチネンタルブレックファーストが待っています。
綿花模様の食器やドアの向こうに広がる中庭の様子を見ながらご飯を食べていると、異国に来たことを実感します。
せっかくウズベキスタンまで来たのだから、せっせと色々な所を見て回りたくなりますが、あえて中庭でボーっとしたり、英語が話せるオーナーさんと雑談しながら過ごすのは、究極の贅沢だと思います。
そんな贅沢な時間の使い方をしていると、すごく私は幸せなんだと実感します。
2階のテラスで日の光を浴びながら読書したり、お昼寝するのもおすすめです。
バザールをめぐってお気に入りのスザニを見つける
スザニはウズベキスタンの伝統的な刺繍が施された装飾用の布です。
ウズベキスタンには下の写真のようにかわいい伝統工芸品が沢山ありますが、スザニは部屋に飾ると一気に部屋がウズベキスタンぽくなり、いつまでもウズベキスタンの旅を思い出すことができるので、お土産はスザニがおすすめです。
スザニは布のまま売られているほか、最近はスザニの刺繍が施されたトートバッグやクッションカバーも売られています。
伝統的なスザニはイチジクやチューリップをモチーフにしていますが、洋風の図案を取り入れたものもあり、いろいろなお店を巡っていると、きっとお気に入りの1枚が見つかると思います。
スザニはサマルカンドでも売っていますが、ブハラの方が取り扱っているお店が多く、値段も安かったので、スザニを買うならブハラでの購入がおすすめです。
スザニの値段は刺繍の量や丁寧さによってかわりますが、布団くらいの大きいスザニは100USドル~200US ドルくらい、カバンやクッションだと10USドル~40USドルくらいです。
なお、ブハラには「その日に初めて来たお客さんに物が売れると、その日は商売繁盛する」というジンクスがあるようで、その日のファースト・カスタマーになるとかなりの値引きに応じてくれます。
お気に入りのスザニを見つけたら、翌朝お店を訪問して値段交渉してみるのがお得です。
ブハラ旧市街を散策してシルクロード時代にタイムスリップする
ブハラの旧市街は車の侵入が禁止されているため、旧市街に足を踏み入れるとシルクロードの時代にタイムスリップしたかのような光景に出会うことができます。
下の写真に写っているタコ焼きのような丸い屋根が集まった建物は、タキと呼ばれる交差点をドーム型の屋根で覆ったバザールで、ブハラには5つのタキが残っています。
下の写真はアルクの城壁です。アルクはブハラ支配者であったハーンの居城です。
タキやアルクの城壁を見ていると、どこか異世界、映画スターウォーズの世界にいるような気分にもなります。
シャーヒ・ズィンダ廟群でサマルカンドブルーの美しさを知る
サマルカンド・アフラシヤブの丘の南端にあるシャーヒ・ズィンダ廟群
シャーヒ・ズィンダは「生ける王」という意味で、ティームールの親族や王朝の高位者の霊廟が建ち並びます。
霊廟に多用されているサマルカンド・ブルーの美しいタイルは中国の陶磁器の技術とペルシャ地域で産出されるコバルトがこの地で出会うことで生まれました。
トルコ石やラピスラズリの様なサマルカンド・ブルーは、見渡す限り続く砂色の大地の中で非常に映え、ひと際美しく見えます。
サマルカンド・ブルーのアラベスクで飾られている霊廟ですが、いくつかの霊廟はその内部も息を飲むような美しさです。
こちらの霊廟は、色のついた穴を用いた花模様の明り取りの窓が付いており、外光により花模様が輝いて見えるので、とても神秘的な美しさがあります。
まるで教会のステンドグラスを見ているかのようです。
観光時間の目安:1時間 地図
アフラシヤブの丘の墓地で命の尊さを知る
サマルカンドのシャーヒ・ズィンダ廟群の周辺には、一般の方の墓地が広がっています。
初めはシャーヒ・ズィンダ廟群の帰りに何気なく立ち寄ったのですが、この墓地で色々なことを考えさせられました。
ウズベキスタンのお墓は亡くなった方のお名前と一緒に生前の姿が彫られています。
お墓に彫られた生前の写真を見ながら、どんな方だったんだろうと思いを巡らせていたのですが、色々なお墓を見るうちに、とても若くして亡くなっている方が多いという事実に気づきました。
上の写真のお墓には1976年11月-1986年10月と彫られているので、彼女は僅か10歳で亡くなってしまったようです。
また別のお墓には、赤ちゃんを抱いたお母さんの遺影が彫られており、その下にはお母さんと赤ちゃん2人の誕生日と命日が彫られていました。
- 母:1965年6月1日ー1989年12月3日
- 子:1989年12月3日 ー 1989年12月3日
出産で母子共に亡くなってしまったのだと分かりました。
globalnoteの調査によるとウズベキスタン人の平均寿命は71歳で日本人の平均寿命より10歳以上短いです。さらにこの平均寿命もここ30年で向上した結果で、それまでは平均寿命が60代前半でした。
もし若くして亡くなった彼女らが医療水準の高い日本に生まれていたら、今も生きることができたかもしれません。
バザールでお買い物を楽しむ
バザールに行くと日本では見たことの無い食材に出会ったり、スパイスの山盛りなど日本では見られない売り場に出会えるので、とても楽しいです。
また、バザールの人たちは日本人と分かるとせっせと商品を試食させてくれたり、一緒に写真を撮ってくれたり、いろいろと交流できるのでそれもまた楽しいですし、そこで出会った人たちとの真剣勝負の値切り交渉も忘れられない思い出です。
そんな楽しいバザールですが、せっかくバザールに来たのだからここでしか買えないとっておきのお土産を沢山購入しましょう。
まず初めにお薦めするのはスパイスです。
特にウズベキスタン名物料理のプロフに多用される香辛料クミンは、日本で買うよりも圧倒的に安いので、ウズベキスタンでプロフの虜になった人は是非ともクミンは買って帰りましょう。
プロフは日本でも簡単に作れるので、クミンを買って帰ればいつでも懐かしいウズベキスタンの味を思い出すことができます。
次におすすめするのはナッツ類です。
ウズベキスタンではアーモンドやピスタチオなどのナッツ類が安く購入できます。
特にお薦めなのは杏の種
杏の種を殻付きのまま火で煎って塩で味付けしたもので、ピスタチオに似た味ですが、独特の酸味とコクが加わって病みつきになる美味しさです。
またナッツを使ったハルヴァというお菓子もおすすめです。
ハルヴァはカカオ豆のカカオバターの代わりにアーモンドやピスタチオを使って作ったホワイトチョコレートの様なお菓子で、濃厚な甘さで口の中でとろけます。
ハルヴァの中には丸のまんまのナッツ類も入っているので、ナッツ入りのホワイトチョコレートをイメージしてもらうと味が想像できると思います。
下の写真の右側にレンガのように積まれている白い物体がハルヴァです。
ドライフルーツも種類が豊富で、安いのでお勧めです。
レーズンやリンゴ、ジンジャーなど日本でお馴染みの物から、メロンや杏など日本でもあまり見かけない物まで豊富にあります。
話題性で言えば、巨大なサマルカンド・ナンをお土産にするのも面白いです。
乾燥したウズベキスタンとは異なり、日本ではすぐにカビてしまうので、お土産にする場合には帰国直前に購入して、日本に着いたらすぐに冷凍庫に入れて保存しましょう。
食べる時は、食べる分だけ解凍して焼くと美味しく頂けます。
ウズベキスタンでは肉類も美味しいですが、冷蔵保存が必要になるのと、日本は肉類の持ち込みが厳しく制限されているので、お店で買うのは現地で楽しむ分だけにしましょう。
プロフだけじゃない、多様なウズベキスタン料理を堪能する
ウズベキスタンで驚いたのがウズベキスタン料理の美味しさ
プロフはもちろんのこと、それ以外についても何を食べても安定した美味しさで、ウズベキスタンで不味いと思う料理に当たったことはありませんでした。
上の写真はシャシリクで、いわゆる串焼きにした羊や牛、鶏肉です。お店によってはつみれのように挽き肉にして焼いたタイプもあります。
食欲をそそる香辛料が効いていて美味しいです。
こちらはサモサ。カリッと焼けた生地の中には肉まんのように挽き肉を使った具が入っています。
外はカリッとしていますが、噛むと中から美味しい肉汁が飛び出してきて絶品です。
ただ、上手に食べないと手が肉汁だらけになります。
こちらはマンティ。見ての通り中華料理の点心のような料理で、中には牛肉や羊肉のミンチで作られた餡が入っています。
醤油のようなソースがかかっており、味も餃子や点心に近いので、日本人の口に合います。
おそらくマンティという名前自体、中国の饅頭に由来していると思います。
ウズベク人はもともと遊牧民族なので、ウズベキスタン料理は肉料理が中心ですが、ニンジンやナスなどの野菜も比較的豊富に手に入るので、ニンジンやナスを使った料理も非常に多いです。
上の写真はナスとニンジンの炒め物。野菜不足防止になります。
最後におすすめするのは、私がウズベキスタンで食べたシャシリクの中で一番美味しかったお店
写真のおじさんがお店のオーナーです。
このお店のシャシリクの特徴は、適度に脂身が配合されていて、ジューシーな味に仕上がっている所です。
他のお店では肉が固い場合が多いですが、このお店のシャシリクは口に入れると他の店のシャシリクと異なり柔らかく、赤身の旨味と脂身のジューシーな旨味が口の中に同時に広がります。
あまりに美味しかったので、オーナーさんにそれを伝えると、シャシリクの美味しい焼き方を教えてくれました。
炭火で焼くのが柔らかくジューシーに焼ける秘訣のようです。
Google Mapに載っていないお店ですが、レギスタン広場近くのスーパーRegistonがある交差点を渡って、Registonの横にある道を60mほど進むと右側にあります。
下記のマップで印をつけたHostel Gulsaraから見て、道路を挟んだ反対側の左20m先にお店があります。
お店の内側はこのようになっています。
最後に
ここでは10個を選んでウズベキスタンの魅力を紹介しましたが、他にもまだ沢山魅力がありますので、ぜひウズベキスタンを旅行して、ここにない魅力に出会ってください。
◆サマルカンド駅から市内へのアクセスについては、下記の記事で詳しく解説しています。
◆旅行のトラブルを防ぐためのテクニック