自分の作ったランタン(天燈)が空高く上がって行って、彼方へ消えていくのを見るのはとてもワクワクする体験です。
この記事ではこれから台湾を旅行する方がランタン上げを満喫できるように、ランタン上げの所要時間、お店やランタンの選び方、願い事の書き方、飛ばし方を解説します。
またランタン飛ばしのおすすめ時間帯、雨が降っていても大丈夫?、ランタンを飛ばすのに失敗したら?など気になる疑問にも答えます。
さらに、ランタン上げとセットで楽しみたいアクティビティーも紹介します。
ランタン(天燈)が上げられるのはどこ?
ランタン上げを楽しめるのは台湾でも人気急上昇中の十分(じゅうふん、中国語ではシーフェン)
十分は台湾北部、新北市平渓区にある平渓線沿線の街で「ランタン上げ」の他に「十分瀑布」、街の真ん中を列車が通る独特の景観で多くの観光客を惹きつける人気観光地です。
十分がある平渓区一帯は日本統治時代には炭鉱で栄えた地域で、中でも十分は平渓線沿線で最も栄えた街でした。
その後、炭鉱の閉山に伴い十分も衰退しますが、1990年代にランタン上げや平渓線沿線に残る日本統治時代の面影を残すレトロな街並みを活かして多くの観光客を呼び込んだ結果、台湾でも有数の人気スポットになりました。
現在、週末には台湾国内外から多くの観光客が押し寄せます。
ランタン上げの所要時間は?
ランタンを制作して空に飛ばすまで30分~45分程かかります。
さらに天燈を飛ばすのに失敗した場合には、再度、天燈の製作からやり直すため、余裕を持って1時間ほど時間を確保しましょう。
ランタン上げの費用は?
ランタン上げの費用ですが、ランタンを購入した代金にランタンを飛ばす費用も含まれています。
また、ランタンを飛ばす際には大抵どこのお店もお客さんのカメラで写真や動画を無料で撮影してくれます。
ランタンの値段は以下の通りで、単色と4色で値段が異なります。
単色の天燈(ランタン) 150元
4色の天燈(ランタン) 200元
ランタン飛ばしの営業時間や所要時間、値段は以下の通りです。
ランタンを飛ばすまでの手順とランタン飛ばしを楽しむための豆知識をこれから詳しく解説します。
お店の選び方
ランタンを飛ばすには、十分にたくさんあるランタン屋さんでランタン飛ばしを申し込みます。
色々なお店を見て回りましたが、基本的にどのお店も料金・サービスは同じでしたので、ランタンを飛ばす立地でお店を選ぶことになります。
立地としては、老街の中にあるお店か十分駅近くの開けた場所にあるお店の2つがあります。
老街の中で飛ばすメリットですが、まず賑わっている老街の真ん中で飛ばす方が楽しいですし、ランタンを飛ばす時の記念撮影でも十分らしい写真が撮ます。上のようなインスタ映えする写真を撮りたい方は老街中心部のお店でランタンを申し込むのが良いです。
しかし、老街の真ん中で飛ばす場合にはデメリットもあって、十分老街は左右に建物が迫っており、空の視界が狭いです。そのため、飛ばしたランタンが建物よりも高くなった際に風に流されて建物の死角に入りやすく、すぐに見失う可能性も高いです。
自分が飛ばしたランタンが空の彼方へ飛んでいくのをじっくり眺めたい場合には、十分駅に近い開けた場所にあるお店を選ぶのがおすすめです。
ランタンの選び方
様々な色のランタンがあるので、願い事の内容に応じた色のランタンを選びます。
ランタンの各色に意味は下記のとおりです。ただし、お店によってちょっと違いがあるようです。
赤 | いつまでも健やかに過ごせますように(健康、平和) |
黄 | 金運・福を呼びます |
青 | 仕事や事業が順調に行きますように |
紫 | 試験や勉強、進学がうまく行きますように |
白 | 厄除け、開運、家内安全、商売繁盛、未来が明るいように |
オレンジ | 夫婦円満、二人の愛が深まるように |
緑 | 開運、成功 |
桃色 | 縁結び、人気が上がる |
薄いピンク | 幸福祈願 |
願い事が複数ある場合には、4色のランタンもあります。
お願い事の書き方
吊るしたランタンに筆で願い事を書いていきますが、お願い毎は日本語でもOKです。
周りを見ていると、英語やハングルなど皆それぞれの国の言葉で願い事を書いています。
また大抵のお店にはいろいろな願い事を表す4字熟語が書かれた見本があるので、文章を考えるのが苦手な方はそれを参考にすると楽です。
願い事を書く作業、実は意外と難しくて時間もかかります。
まず墨汁が垂れやすいので気を付けましょう。手に墨汁が付きやすいので、付いたらすぐに洗います。乾くと落とすのが大変です。ウェットティッシュなどを持参する便利です。
ひとつの面を書き終わると、店員さんがドライヤーで墨を乾かしてくれるので2~3分程度待ちます。
ランタンは4面あるので、4色ランタンなどで4面すべてに願い事を書く場合には、願い事を書く→乾かすを4回繰り返します。したがって20分~30分近くかかります。
ランタンの飛ばし方
願い事を書き終えると、ランタンを飛ばす線路の上に移動し、ランタンと一緒に記念撮影を行います。店員さんにカメラを渡すと、慣れた感じて写真を撮ってくれます。
なお、記念撮影時に店員さんからポーズが指定されます。例えば金運だったら、がっちりマンデーのがっちりポーズを取らされます。
4色のランタンの場合はランタンを回転させて4回記念撮影をした後、ランタンにセットされた燃料に火を付けます。
炎でランタンの中が十分に熱せられるまで手を離してはいけません。少し熱いかもしれませんが、我慢しましょう。
ランタンが十分に熱せられたら、店員さんの合図でランタンを離します。複数人でランタンを持っている時に離すタイミングがずれると、ランタンがバランスを崩してしまうことがあるので注意しましょう。
どうか願い事が叶いますように・・・
ランタン飛ばしに関するアドバイス
ランタン屋さんが開いている時間は?
だいたいのランタン屋さんは朝9時~夜7時まで営業しています。
ランタンを飛ばすのは昼と夜のどちらがいい?
初めての十分であればどちらでも楽しめます。
ランタンは夜に飛ばす方が幻想的ですが、カラフルなランタンが沢山青空に上がる光景もそれはそれで美しいので、昼間でも楽しめます。
雨が降ってもランタンは飛ばせますか?
山岳地帯にある十分はもともと雨が多いので、多少の雨ならば飛ばすことができます。
ランタンを飛ばすのに失敗したらどうなるの?
もう一度、ランタンを作って飛ばします。失敗した場合は無料でランタンを作れるようです。
私は十分老街に2時間ほど滞在しましたが、その間にランタン飛ばしに失敗するシーンに3度も遭遇しました。
失敗原因として多いのはやはり風で、ランタンを放出した際に風にあおられて、ランタンが傾いたり変形、その結果ランタンに火が燃え移り、炎上・墜落していました。
無情にも炎上し、店員さんが慌てて火を消します。
ランタン上げとセットで楽しみたい事
老街スレスレを通過する列車を見る
十分のすごい所は、なんといっても街のメインストリートが線路になっている所。狭い老街の真ん中を電車が走り抜ける姿は圧巻です。
ランタン上げを楽しんだら、このスリリングな体験もぜひ一緒に楽しみましょう。
単線の平渓線は十分駅で瑞芳行きと菁桐・平渓行きの列車の交換(すれ違い)を行うため、上下線共に大体同じ時間帯に十分老街を通過します。
そのため基本的には、十分に到着したら1時間後に十分老街を通過する列車を見て、さらにその1時間後の列車で瑞芳に戻ることになります。
しかし、もし十分老街が空いている場合で、かつ十分での列車の交換時間が10分~15分ある場合には、瑞芳から十分駅に到着後に急いで老街に向かい反対方面の列車を通過を見たり、老街で列車の通過を見た後に急いで十分駅に向かい瑞芳行の列車に乗り込むことも可能です。
この場合は十分滞在1時間で列車の通過も見ることができます。
平渓線の十分老街の通過時刻
十分老街を平渓線が通過する時刻(9時~19時)は以下の通りです。計画を立てる際の参考にしてください。
十分老街の通過時刻 | 進行方向 |
09:32 | 瑞芳 → 十分駅 |
09:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
10:33 | 瑞芳 → 十分駅 |
10:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
11:26 | 瑞芳 → 十分駅 |
11:36 | 十分駅 → 瑞芳 |
12:24 | 瑞芳 → 十分駅 |
12:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
13:24 | 瑞芳 → 十分駅 |
13:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
14:24 | 瑞芳 → 十分駅 |
14:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
15:24 | 瑞芳 → 十分駅 |
15:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
16:24 | 瑞芳 → 十分駅 |
16:30 | 十分駅 → 瑞芳 |
17:25 | 瑞芳 → 十分駅 |
17:40 | 十分駅 → 瑞芳 |
18:32 | 十分駅 → 瑞芳 |
19:01 | 瑞芳 → 十分駅 |
十分瀑布を見る
十分瀑布は十分の北部にある落差約20メートル、幅約40メートルの滝です。
落差はあまりありませんが、幅40メートルというのは台湾の滝では最大で、平渓線沿線で最大の観光スポットになっています。
また、滝に向かう途中に四広潭や觀瀑吊橋といった景勝地も通るので、滝だけでなくこれらも景勝も楽しめます。
また滝の周辺も整備されており、滝の上流と下流の両方から十分瀑布を眺めることができます。
十分瀑布は台湾のナイアガラとも呼ばれますが、本物のナイアガラの滝に比べると規模も小さいです。
また雨などで水量が増えている時にはそれなりに見応えがありますが、晴天が続いていて水量が少ない場合にはそこまで迫力もないので、ガッカリされるかもしれません。
十分瀑布の観光には往復時間も含めると1時間~2時間ほどかかるため、時間にゆとりが無ければスキップしても良いと思います。
十分瀑布の行き方
まず、十分老街から徒歩1.0km離れた十分遊客中心(十分ビジターセンター)に向かい、そこから十分風景特定区の遊歩道を0.5kmほど歩くと十分瀑布に着きます。
台北からバスで十分に来る場合には、十分老街で下車せずに終点の十分遊客中心まで行くと便利です。
十分のグルメを楽しむ
溜哥焼烤鶏翅包飯
十分のグルメを紹介する多くのサイトで出てくるのが、この溜哥焼烤鶏翅包飯です。
溜哥焼烤鶏翅包飯は手羽元にチャーハンを詰めてカリッと焼き上げた料理です。
手羽元にはゴマがまぶされていて香ばしいゴマの香りが口に広がると同時に、ピリッとするくらい胡椒が効いているので、スパイシーな料理が好きな方には堪らない味だと思います。
場所は十分駅の近くで、駅を出ると行列ができているのですぐに分かります。
愛玉檸檬
レモネードに愛玉ゼリーを入れたドリンクです。愛玉ゼリー自体はほとんど味が無いので、レモネードによく合います。
愛玉子は主に台湾北部に自生するクワ科イチジク属のつる性植物です。愛玉子の果実は水の中で揉むとゼリー状に固まる性質があり、このようにして作ったのが愛玉ゼリーです。とてものど越しが良いので台湾の人に愛されています。
実際に飲んでみると、モチモチしたタピオカとは正反対の柔らかくつるんとした触感で、口の中に入れるとすぐに砕ける感じでした。
タピオカと違って重くなく、レモネードもスッキリしていて飲みやすく、暑い夏にはハマりそうです。
写真のお店は、溜哥焼烤鶏翅包飯のすぐ隣にあります。
溜哥焼烤鶏翅包飯はスパイシーで喉が渇くので、愛玉檸檬をガブガブ飲んでしまいました。溜哥焼烤鶏翅包飯を買った際には、隣で愛玉檸檬も買うのがおすすめです。
お土産を買う
十分遊趣で来趣東北角の雑貨を買う
九份や十分といった台湾の観光地をモチーフにしたレトロなデザインがかわいい来趣東北角
台北市内だと誠品書店の店舗で扱っていますが、誠品書店に行く時間が無いという方におすすめなのが、十分老街にあるお土産物屋さん十分遊趣です。
来趣東北角の商品が一通りそろっていて、誠品書店に行かなくても平渓線の待ち時間に来趣東北角の雑貨が買えてしまうのでおすすめです。
私もお土産にマスキングテープを沢山購入してしまいました。
ミニチュア天燈を買う
多くのランタン屋さんは店内でミニチュア天燈を販売しており、ランタンを飛ばした後にお土産としてミニチュア天燈を購入することができます。
ミニチュア天燈はひとつひとつデザインや書かれている願い事が異なるので、ぜひお気に入りのランタンを見つけてみてください。
十分への行き方(アクセス)
十分に行くには主に鉄道、バス、タクシーの3通りの方法があります。個人的には値段も安くローカルな雰囲気を味わいながら十分に行ける鉄道がおすすめです。
鉄道で行く場合
鉄道で十分に行く場合、台北からの所要時間は1時間半~2時間で、運賃は普通列車で行く場合は68元、特急列車を利用すると101元です。
交通ICカードの悠遊カードを使うと瑞芳駅で平渓線の切符を買う必要がないので便利です。
詳しい行き方
台北から台鉄で台湾北部にある瑞芳に向かい、瑞芳駅で平渓線に乗り換えます。
この後紹介する台鉄のホームページで十分へ行く列車を検索すると、検索結果に列車番号が表示されるので、当日駅の電光掲示板に表示される列車番号を見て何番線から列車に乗るか調べます。
瑞芳駅で平渓線に乗り換えます。
平渓線のホームは台北からの列車とは異なるホーム(5番線)ですので、瑞芳駅に着いたら一旦地下通路に降りて平渓線のホームに移動します。
空いていれば5分ほどで乗り換え可能ですが、混雑していると10分程度乗り換え時間が必要です。
10月の平日、10時台の平渓線に乗った時の混雑状況は上記の通りです。
列車はひたすらのどかな景色の中を走ります。瑞芳駅から4駅、約25分ほどで十分に到着です。
十分行き列車の時刻表
台鉄のサイト(https://tip.railway.gov.tw/tra-tip-web/tip?)で検索できます。
出発駅と到着駅、日付を入力して検索すると、十分に行くための列車の候補が表示されます。
出発駅もしくは到着駅で十分駅を選択するには、検索ボックスから”支線”→”平渓線”→”十分”と選択します。
また検索結果が表示されない場合、乗り換え条件が「ダイレクト」になっていると思いますので、乗り換え条件で”乗り換え”を選択してください。
鉄道で十分に行く場合の注意点
台鉄は10分~20分程度の遅れが頻繁に発生するため、瑞芳駅での乗り換え時間に余裕がない場合、台北からの列車が遅れて平渓線に乗り遅れる可能性があります。
平渓線は1時間に1本程度しか運転がなく、平渓線の乗り継ぎに失敗すると大変な時間のロスになります。
平渓線での乗り換え時間には余裕を持たせてください。
列車が遅れた場合の裏技
台北からの列車が遅れて平渓線への乗り継ぎが絶望的な場合、途中の八堵駅で下車して、タクシーで十分に向かうと、大幅に遅れを挽回できます。
実は列車で十分に向かう場合、かなり遠回りなルートになるのでその分時間がかかっています。
【参考】八堵駅から先も列車で十分に向かう場合のルート
【参考】八堵駅からタクシーで十分に向かうルート
七堵駅や八堵駅で下車してタクシーで十分に向かうと、遠回り分を大幅にショーットカットできるので列車の遅れを挽回できます。
注意点ですが、台湾は右側通行のため八堵駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗ると十分とは逆方向になりますので、できれば駅前とは反対車線でタクシーを捕まえられるとベストです。
タクシーの運賃は500元程度です。十分に行きたいと告げると多くのドライバーはメーター制でなく固定運賃を求めてくるので事前に確認してください。
バスで行く場合
詳しい行き方
MRT文山線の木柵站近くのバス停「捷運木柵站」から十分遊客中心行きの795番バスに乗り、十分寮橋で下車します。
所要時間は約1時間で、運賃は45元です。
捷運木柵站は台北中心部から離れていて、台北中心部の忠孝復興站から捷運木柵站まで行くには約20分(8駅)、運賃25元かかります。
台北中心部から十分までの総所要時間は乗り換え時間含めて1時間半~2時間、運賃は70元になります。
MRT文山線の近くに宿泊している場合や十分と合わせて深坑老街にも立ち寄りたい場合はバスの利用が便利です。
十分行きバスの時刻表と路線図
時刻表
http://www.tpebus.com.tw/image/5163.1.pdf
路線図
http://www.tpebus.com.tw/image/lineimage.php?imagetest=5163.1
795番でも行先が「平溪」のバスは十分の手前で終点になってしまうので、必ず「十分遊客中心」行きのバスに乗車してください。
時刻表の時刻は795番バスの始発駅である台北客運木柵バスターミナルの発車時間のため、捷運木柵站にバスが到着するのは時刻表記載の時間の約5分後になります。
バスで十分に行く場合の注意点
長時間山道を走行します。日本のバスに比べて運転が荒い場合が多く車酔しやすいので、車酔いに弱い方にはおすすめしません。
また、空席が無く立ち乗りになってしまう可能性があります。その場合は体力を消耗したり、車酔いする可能性があります。
タクシーで行く場合
台北市内から十分までタクシーを利用した場合、十分までの所要時間は渋滞が無ければ約40分ですが、混雑時には1時間かかる場合があります。料金も1,000~1,200元程度です。
日本では十分よりも千と千尋の神隠しのモデルになったことで話題の九份の方が有名ですが、個人的には身動きできないほど大混雑する九份に比べて、まだゆっくりと観光でき、天燈上げなどの貴重な体験ができる十分の方が楽しめました。
◆台湾旅行に役立つ記事はこちら
◆旅行のトラブルを防ぐためのテクニック