エストニアのタリンからロシアのサンクトペテルブルグまで、LUX Expressという長距離バスで移動しました。
この記事では、実際にバスを利用した経験をもとにLUX Expressの予約方法から実際の所要時間、トイレ休憩の有無、バス利用時の注意点をまとめています。
また最後に、バス旅の様子や陸路でのEU出国・ロシア入国の様子が分かる乗車記も記載していますので、ぜひ参考にしてください。
そもそもLUX Expressとは
LUX Expressバスは1993年にエストニアのタリンに設立されたバス会社で、バルト3国を中心に7か国で国際バス路線を運行しています。
タリンーサンクトペテルブルグ間は1日8~10便運航していて、所要時間は約7時間です。
かなり豪華なバスで運行を行っていて、車内各席にはコンセントやパーソナルモニターが完備されているほか、車内でFree Wi-Fiや無料のドリンクマシンを利用することができます。
また車内にトイレも完備されています。
所要時間と運賃
タリン→サンクトペテルブルグ間の所要時間
タリンからサンクトペテルブルグまでの所要時間は、時間帯によって異なり6時間25分~8時間です。
タリンからサンクトペテルブルグまでの走行距離は約370kmなので実際の走行時間は4時間半~5時間ですが、EU-ロシア間の国境を超えるのに1時間半~2時間半ほどかかるので、トータルで約7時間程度要します。
私は混雑している時期にこの路線を利用したため、サンクトペテルブルグまでスケジュール通り7時間かかりましたが、国境が空いていると予定よりも1時間早く着く場合があるようです。
運賃
タリンーサンクトペテルブルグ間の運賃は混雑予測によって変わり15~40€程です。
利用客が少ない便にはキャンペーン運賃が設定されている場合があり、この場合は10€程度の運賃もあります。ただしキャンペーン運賃は払い戻し不可です。
また、子供やシニア向けの割引制度があり、7歳までの幼児は通常運賃から80%割引、16歳までの子供は通常運賃から40%引き、60歳以上は通常運賃から10%割引になります。
PINSという会員プログラムに加入すると、初回利用時から15%割引になります。
車内設備
車内各席に設置されたパーソナルモニターでは映画やゲームを楽しむことができますが、タリンからサンクトペテルブルグまでは曲がりくねった道が多く、パーソナルモニターを見ていると車酔いしやすいので、パーソナルモニターの使用はあまりおすすめしません。
無料のドリンクマシンはバスの中央扉付近にあり、コーヒー、紅茶、ココアを作ることができます。
車内のトイレもバスの中央扉の付近にあります。出発時には綺麗ですが、途中で便座が汚れてくるので、便座を清掃できるものを持っていくと良いと思います。
LUX Expressバスの予約方法
バスの検索
Lux Expressのホームページ(https://www.luxexpress.eu/en/)にアクセスします。
①Starting point(出発地)に「Tallinn Coach Station」を入力します。”talli”くらいまで入力すると選択候補が表示されるので、そこから「Tallinn Coach Station」を選択するのが便利です。
②Destination point(目的地)に「St.Petersburg Coach Station」を入力します。こちらも”St.P”くらいまで入力すると選択候補が表示されるので、そこから選択するのが便利です。
③Departure dateをクリックして、表示されるカレンダーから出発日を選択します。もし往復で購入する場合には、その下のReturn dateに復路出発日も入力します。
④2人以上で旅行する場合は、Travellersの+ボタンを押して人数を変更します。
入力が完了したら、SEARCHと書かれた赤い丸をクリックします。
乗車する便の選択
便の一覧が表示されるので、①の出発/到着時間、②所要時間、③料金を確認して予約したい便の④CHOOSEボタンをクリックします。
乗車する便の確認
日付と便の選択が誤っていないか確認して、右下のCONTINUEと書かれた赤いボタンをクリックします。
変更したい場合には、緑色のChangeを押して便の選択に戻ります。
チケットの種類の選択
チケットの種類を選択します。
Campaign ticket(キャンペーン・チケット)は安い料金ですが払い戻し不可です。また子供や高齢者の場合は、通常料金の方が安い場合がありますので、必ず通常料金も確認してください。
真ん中のRegular ticketをクリックすると通常運賃が表示されます。
Regular ticketの中にあるChoose discountをクリックすると、各種割引が選択できるので該当する方は選択します。
Children up to 7 years (7歳までの子供) … 80%割引
Children up to 16 years (16歳までの子供) … 40%割引
People above 60 years (60歳以上) … 10%引
乗客の情報の入力
PINS number (Lux Expressの会員番号)…無料の会員登録を行うとその場から15%割引になります。ただし他の割引との併用はできません。
First name(名前)…名前をパスポートに書かれたローマ字と同じ綴りで入力します。
Last name(苗字)…苗字をパスポートに書かれたローマ字と同じ綴りで入力します。
Patronymic(父称)…日本人は入力不要です。
E-mail(メールアドレス)… Eチケットの受信等に使うメールアドレスを入力します。
Region code (国番号)… リストの中から”JAPAN +81″を選びます。
Phone number(電話番号) … 先頭の0を除いた電話番号を入力します。
Date of birth(生年月日) … パスポートと同じ生年月日を入力します。
Gender(性別) … 男性はMale、女性はFemaleを入力します。
Citizenship or document issuing country(市民権)… Japanを選択します。
Document type(身分証明書の種類)… passportを選択します。
Document number(身分証明書の番号)… パスポートの番号を入力します。
入力が完了したら右下のCONTINUEと書かれた赤いボタンをクリックします。
座席の選択
シートマップから希望の座席を選択して、右下のCONTINUEと書かれた赤いボタンをクリックします。
追加サービスの選択
バスターミナルからホテルまでの送迎サービス(有料)などを追加できますが、何も選択せずに右下のCONTINUEと書かれた赤いボタンをクリックします。
Eチケットの送付先の選択
表示されるEメールアドレスからEチケットを送るメールアドレスを選択します。
支払い情報の入力
支払い方法としてCredit cardを選択して、”I have read and agree with the Lux Express ticket selling terms”にチェックを入れます。
最後に右下のBUY TICKETSと書かれた赤いボタンをクリックします。
乗車方法
支払いが完了すると上記のようなEチケットが送られてくるので、これを印刷します。
バスに乗る際に印刷したチケットとパスポートを運転手さんに見せて乗車します。
LUX Express(タリン→サンクトペテルブルグ)乗車体験記
サンクトペテルブルグ行きのバスが出発するタリンバスターミナル(Tallinna Bussijaam)はタリン旧市街から南西に約2km離れたところにあります。
旧市街からバスターミナルに向かう場合には、2番もしくは4番トラムに乗りBussijaamという駅で降りると、バスターミナルの近くに着きます。
ヴィル門の北にあるMere puiestee駅から2番のトラムに乗ると4駅、所要時間は約10分でBussijaam駅に着きます。
同じくヴィル門の南側のViru駅から4番のトラムに乗っても4駅、所要時間は約10分でBussijaam駅に着きます。
バスターミナルは近代的な建物で、中には売店やカフェが併設されています。
上記はバスターミナルの館内図ですが、右下の入口を入ってすぐ右手にインフォメーションカウンターがあり、ここでタリンの交通ICカード(スマートカード)の払い戻しを行うことができます。
入口を入って左手に進むとトイレがあります。
トイレは有料で0.5€くらいだったと思います。
ユーロセントコインが無い場合には、トイレの近くの壁に両替機が付いていて、そこで 1€コインを0.5€~0.1€ コインに両替することができます。
バスは意外にも早く、出発の30分前から乗車開始になりました。乗車の際にチケットとパスポートがチェックされます。
乗客が全員揃ったため、定刻よりも15分早く14時15分に出発しました。
タリンを旅行したのは日本のGW期間中でしたが、ちょうどロシアも連休だったようでバスは満席で、増発便も出ていました。2台のバスでサンクトペテルブルグに向かいます。
バスはタリン街を出ると、のどかな田園地帯をひたすら走ります。
たまに車窓からは放牧されている羊や牛の群れをみることができます。エストニアは酪農大国でもあるようです。
出発から2時間半でロシアとの国境の街、ナルバに到着しました。
すぐに国境に向かうと思いきや、バスは国境では無くナルバの駅に向かい、そこで停車します。
ドアが開いて一部の乗客がバスを降りるので、休憩かと思い運転手さんに確認すると、休憩じゃないのでそのままバスに乗るように指示されます。
周りを見るとLuxExpressのバスが何台か止まっており、サンクトペテルブルグとは別の街に行く乗客はここで乗り換えを行っているようでした。
10分ほど停車すると、降りた乗客と入れ替わりでタリンとは別の街からやってきた新たな乗客がバスに乗り込んできて出発します。
バスはすぐに国境の検問所に到着。しかしこの日は国境を通過するバスが多く、検問所に入るまで15分ほど待たされます。
ドライブスルーのような審査場で出国手続きを行うようです。
バスが検問所に入るとエストニアの出国審査官がバスに乗り込んで来て、乗客一人一人からパスポートを回収していきます。
大量のパスポートを抱えた審査官はバスを降りて近くのブースの中に入ると、そこでパスポートを1冊づつチェックしながらスタンプを押していきます。
パスポート1冊あたり30秒~1分くらい時間をかけているので、全乗客のパスポートを処理するのに30分近く待たされます。
全てのパスポートの処理が終わると大量のパスポートを抱えた審査官が再びバスに乗り込んで来て、乗客一人一人にパスポートを返却していきます。
パスポートには陸路でのEU出国を表す車の図案が描かれた出国スタンプが押されていました。
パスポートの返却が完了し審査官がバスを降りると、バスは検問所を出発してロシアとの国境の橋を渡ります。
エストニアとロシアの国境は川幅約100mのナルバ川になっていて、進行方向右手のエストニア側とロシア側両方の川岸には石造りの重厚な城が見えます。
国境に着いてから1時間、ようやくEUを出国してロシア側に入りました。
国境の橋を渡りロシア側に入るとすぐにロシア側の検問所に着きます。ここでも入国審査の順番待ちのためしばらく車内で待機します。
前のバスの乗客達が入国審査を終えると、私の乗っているLux Expressバスの番になりました。
ロシア側の入国審査では乗客全員がバスから降ろされて、一人一人検問所に設けられたブースで入国審査を受けます。
入国審査が終わった人は再びバスに戻り、車内で待機します。
なお、ロシア側の検問所にはトイレがあるらしく、何人かの乗客はバスに戻る前に検問所のトイレに寄っていました。
全員がバスに乗り込んだらバスは再び動き出し、一路サンクトペテルブルグに向かいます。
国境を通過するのに延べ2時間近くかかりました。
ロシア側の国境の街、イヴァンゴロドを抜けると車窓にはひたすら緑の平原が続きます。
ロシアの国境検問所を出発してから1時間半でボリシエ・ゴルキの街まで到達します。
ボリシエ・ゴルキの街を抜けてしばらく進むと、サンクトペテルブルグ空港に向かって着陸態勢に入る飛行機の姿が多く目に入るようになり、サンクトペテルブルグの街に近づいていることが分かります。
空港のそばを通り過ぎると、道も片道4車線のハイウェイにかわり、遠くにサンクトペテルブルグの市街地が見えてきました。
サンクトペテルブルグの市街に入りしばらく走ると、ロシア語で車内放送があり「バルティスカ…」とバルチィスカヤ駅を指しているような言葉が聞こえてきます。
しばらくすると、バスは本当にバルティスカヤ駅前のロータリに入り停車しました。
私が宿泊するホテルはバルチィスカヤ駅の近くにあるので、急いで支度して降りました。もともとは終点のバスターミナルで下車してタクシーでホテルに向かう予定だったのですが、バルチィスカヤ駅で降りることができて、予定よりも早くホテルに向かうことができました。
乗ってみた感想
7時間近い長旅でしたが、座席は広く快適なので疲れはほとんど感じませんでした。ただ、車窓はひたすら緑の平原が続き、見所となる絶景がないので飽きてしまいます。音楽など何か暇つぶしできる物があると快適な旅になると思います。
タリンーサンクトペテルブルグ間を飛行機で移動すると最低でも1万5千円近くかかり、直行便がないため移動時間も3時間近くになります。
市内から空港までの時間や空港での入出国審査や待ち時間を加えるとバスと所要時間が変わらなくなるので、15~30€で移動できるLux Expressは利用価値が高いと思います。
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